どんな治療法があるの?

MGの診断・治療

どんな治療法が
あるの?1)

免疫療法を中心に、症状や発症年齢、自己抗体の有無、合併症の有無などを考慮して、患者さんごとに治療法が選択されます。

重症筋無力症(MG)は
自己免疫疾患であることから、
治療の中心となるのは
過剰な免疫のはたらきを抑える免疫療法です。
必要に応じて胸腺摘除術や、
補助的治療として対症療法が検討されます。

MGの治療方法(例)

  • 免疫療法

    飲み薬

    • ステロイド薬
    • 免疫抑制薬
  • 免疫療法

    点滴・注射薬

    • ステロイドパルス療法
    • 血漿浄化療法
    • 免疫グロブリン静注療法(IVIg)
    • 補体阻害薬
    • 胎児性Fc受容体(FcRn)阻害薬
  • 外科手術

    • 胸腺摘除術
  • 対症療法

    • 抗コリンエステラーゼ薬(飲み薬) など

MG治療の中心:免疫療法1)

MGでは、免疫療法を中心に、症状の改善はもちろん、QOL(生活の質)および心の健康の改善を目指した治療が行われます なかでも基本となるお薬はステロイド薬ですが、ステロイド薬は飲む量や飲む期間によって副作用を伴い、QOLの低下を招く恐れがあるため、ステロイド薬とほかの免疫療法を組み合わせた治療を行い、治療を開始した早期から症状の改善を目指します。 複数の治療を組み合わせて早期に症状を改善することにより、症状の安定やステロイド薬の減量、ひいては良好なQOLの維持が期待できます。

MGの治療目標:ステロイド薬(経口プレドニゾロン)1日5mg以下で、軽微な筋力低下は存在するが、日常生活には支障がない状態

ステロイド薬

  • MG治療の基本となるお薬です。
  • 副腎で作られているホルモン(副腎皮質ホルモン)の一つを人工的に合成したお薬で、炎症や免疫を抑えるはたらきがあります。
  • 長期間にわたって飲むことが多く、症状や副作用の状態をみながら飲む量を調整します。

主な副作用

  • 感染症
  • 胃腸の潰瘍
  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 脂質異常症
  • 顔が丸くなる(ムーンフェイス)
  • 骨粗しょう症 など

注意点

  • 免疫力が低下するため、感染症に注意しましょう。また、服用中は生ワクチン(風疹、水痘、おたふくかぜなど)の接種ができません。
  • 急に服用を中止すると、体内のステロイドが不足し、倦怠感(体がだるくなる)や吐き気などの症状が出ることがあります。自己判断で服用をやめないようにしましょう。

免疫抑制薬

  • ステロイド薬と同様に免疫を抑えるはたらきがあるお薬です。
  • ステロイド薬と併用することが多く、ステロイド薬の減量による副作用の軽減が期待できます。

注意点

  • 免疫力が低下するため、感染症に注意しましょう。また、服用中は生ワクチン(風疹、水痘、おたふくかぜなど)の接種ができません。

ステロイドパルス療法

  • 多量のステロイド薬を点滴で投与します。
  • 短期間での効果が期待でき、ステロイド薬の量を減らせる可能性があります。
  • 一時的に増悪(MG症状の悪化)がみられることがありますが、原則入院して様子をみながら投与します。

血漿浄化療法

  • 血液の成分を専用の装置で分離し、MGの原因となる自己抗体を取り除きます。
  • ステロイド薬や免疫抑制薬で効果が不十分な場合や、MGの増悪、特にクリーゼが発症したときに、ほかの免疫療法と組み合わせて行います。

免疫グロブリン静注療法(IVIg)

  • 免疫グロブリン製剤というお薬を5日間連続で点滴投与し、MGの原因となる自己抗体の作用を抑えます。
  • 症状が中程度以上の患者さんに有効で、クリーゼを含むMGの急性増悪(急激な悪化)の改善も期待できます。
  • 通院での治療も可能です。

補体阻害薬

  • 免疫のしくみにかかわる“補体”と呼ばれるタンパク質のはたらきを抑えます。
  • 定期的に通院し点滴投与するお薬と、ご自宅で注射するお薬があります。
  • 髄膜炎菌感染症にかかるリスクがあるため、ワクチンを接種したうえで使用します。

胎児性Fc受容体(FcRn)阻害薬

  • MGの原因となる自己抗体の血中濃度を下げるお薬です。
  • 定期的に通院し点滴で投与します。

手術:胸腺摘除術

  • 手術で胸腺を取り除きます。
  • 胸腺異常(胸腺腫、過形成胸腺)を合併する患者さんに対して検討されます。
  • 手術後にクリーゼを発症することがあるので、MGの症状を安定させてから手術を行います。

対症療法
(抗コリンエステラーゼ薬)

  • 脳からの指令を伝える役割をもつアセチルコリンの分解を抑えるお薬です(アセチルコリンについては「なぜ、力が入りにくくなるの?」参照)
  • MGのタイプにかかわらず、多くのMG患者さんに使用されます。
  • 免疫療法と組み合わせて使用され、症状の改善がみられたら減量または中止します。

文献

  • 1)日本神経学会監修:重症筋無力症/ランバート・イートン筋無力症候群診療ガイドライン2022, 南江堂

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